胆嚢摘出術(胆石および胆管肝炎)の治療例

なんと15歳7ヶ月とご高齢の、ダックスフンドのわんちゃんです。
今回は胆嚢摘出術という手術を行いました。

このわんちゃん、来院のきっかけは嘔吐と食欲不振でした。
血液検査では炎症数値および肝臓項目の上昇。腹部の超音波検査では肝臓の横にある「胆嚢」という臓器で異常を認め、胆嚢および肝臓での炎症と障害が確認されました。
まずは、抗生物質および抗炎症剤による内科療法を実施。お薬への反応は多少あるものの、お薬が減らせない状況でした。

内科療法では改善しないため、高齢ではありましたがお預けして頂き外科的処置として胆嚢摘出術を行いました。
 胆嚢摘出術はその名の通り「胆嚢」という臓器を切除する手術です。
胆嚢は本来、胆汁という消化液を肝臓から受け取って溜めて腸へ送る働きがあります。しかし今回のように炎症があったり胆嚢自体の働きが落ちてしまうと肝臓へも負担がかかってしまいます。
胆嚢自体の摘出により炎症や感染などの原因除去を目的に手術を行いました。

摘出した胆嚢と胆嚢内容物 本来の胆汁(黄色の液体)以外に黒色や白色の胆泥・胆石が充満していた
胆嚢内の細菌

摘出した胆嚢内には胆汁の他に、粒々とした胆石の充満が見られました。
胆石により胆管が詰まっている様子があったので手術中に胆管洗浄も実施しました。
また、写真のように胆嚢内では重度の細菌感染も認めました。
臓器ひとつが感染源になってしまっていると、なかなか投薬だけでは治療が出来ません。

術後は数日の入院を実施しましたが、予定通り帰宅。
その後は感染が落ち着き、炎症や肝臓数値も徐々に下がり元気な様子になってくれました!
高齢で、また大変な手術ではありましたが、手術を受けて頑張っていただいて治癒に向かうことができました。

今回は胆石および胆管の閉塞・感染に起因する胆管肝炎を胆嚢摘出によって治療しました。
特に胆石は知らないうちに進行する場合があり、レントゲンや超音波検査での定期健康診断が有効です。

ご家族には治療経過の掲載を顔も名前も載せて良いですよ!と快諾して頂けました。
お顔や名前は流石に載せられないのですが、見せたいくらい本当に可愛いダックスさんです!
元気な様子で体調チェックに病院へ来てくれるのが何より嬉しく感じますね。