オトスコープを用いた耳道内異物の治療例
3歳、柴犬のわんちゃんです。
他院治療で反応の乏しい外耳炎のセカンドオピニオンとして、当院通院を2度行った後の再診察でした。
「最近耳の調子が良かったのに、数日前からかなり耳を気にする」とのことでした。
当院で治療中の左耳は感染が落ち着いていて、酷かった腫れも減少傾向。外耳炎治療は良好のはず…と急な痒みに違和感がありました。
オトスコープ(耳用の硬性鏡)で覗くと、耳の奥に毛の束を認めました。

柴犬、フレンチブルドッグなど毛が硬く抜けやすい犬種では耳奥に自身の抜けた毛が入り込んでいることがあります。
この毛が、急な痒みの原因である可能性を考え無麻酔(飼い主様に抑えてもらい座ったまま)でのオトスコープ下異物除去を実施。
保定:飼い主さん
耳を牽引して耳道空間の確保:看護師
左手でオトスコープ・右手で鉗子操作:私
とまさにみんなで頑張りました。
✖︎オトスコープが壁に触れる→違和感で動物が処置をさせてくれなくなる
✖︎鉗子で耳道内に触れる→外傷を引き起こす可能性がある
とデリケートな処置でしたが、無事に奥から引っ張り出して無事摘出。
耳垢が毛を固めてガッチガチになり異物化したものが取れました。
これが耳に入っていたら…と思うとムズがゆいですね。

オトスコープは耳道内の観察だけでなく耳科疾患の治療に用いることもできます。
ただし、処置までは難しく行っていない病院も多いのが現状です。
今回の患者様は元々、耳科専門診療とオトスコープのある病院として当院を受診されていました。
動物病院の専門診療の中で、「耳科」があるというのがあまり認知されていないと感じます。
耳科診療がある病院を知らず、困られているワンちゃん、猫ちゃんはとても多いです。周囲でも、「実は耳の痒みなどが治らず困っている」というどうぶつとご家族はいらっしゃらないでしょうか。
当院としては、耳科・皮膚科診療に注力して、快適な生活ができるようにより多くの子に適切な治療を提供するように励みたいと思います。

