膣腫瘤の外科治療例

フレンチブルドッグの女の子です。
今回は膣腫瘤摘出、避妊手術を行いました。

「陰部から何か出ている」という主訴での来院でした。
写真のように赤く出ているものは陰部膣粘膜から繋がっているものであり、膣腫瘤と判断しました。
物も大きく、出来物を引っ込めても度々出てしまうことから摘出手術を行ないました。
避妊手術を受けていない女の子であったことから、女性ホルモン分泌による膣粘膜の過形成がきっかけになっていることを考慮して再発防止のために避妊手術も実施することになりました。

術前、仰向けでの陰部腫瘤の様子 何もしていなくても腫瘤が飛び出しています


卵巣子宮摘出による避妊手術を実施。
その後、会陰切開を行なって膣腫瘤を可能な限り取り切って縫合しました。
日帰りで帰宅し、抜糸も後日問題なく行えています。
腫瘤自体は悪性ではなく、避妊手術も同時に行なっているため再発もなく過ごせています

今回は膣腫瘤を切開により摘出しました。陰部腫瘤は出来物自体が悪性でないのが重要なことはもちろん、たとえ良性のものであっても擦れて出血・ひどい感染症を起こしてしまったり、物理的に閉塞するため排尿障害を起こしてしまうこともあります。根本的には切除するしかなく、併せて避妊手術を実施することで再発を減らします。

避妊手術を受けていない場合、女性ホルモンの影響によってシニアになってから膣や子宮、乳腺などに良性悪性どちらも出来物ができやすくなる事があります。こういった病気を見ると、予防としての避妊手術が重要であることを感じます。
もちろん全身麻酔などのデメリットもありますので、誰でもとりあえず避妊手術!というよりも必要性を獣医師とよく相談して決めることが一番重要だと思っています。