耳道内腫瘤による慢性外耳炎の治療例

シーズーの女の子です。
今回は外耳炎の根治を目的としてオトスコープを用いた耳道内腫瘤の摘出、レーザー焼烙を行いました。

「右耳から膿が出ていて、耳の中にできものもあるが治らない」という主訴での来院でした。
耳垢検査を実施すると写真のように多量の炎症細胞および菌を認めました。

耳垢を染色したの顕微鏡図 大きく広がった紫=炎症細胞 細く短い散らばった紫=菌


①細菌培養・薬剤感受性検査に基づいて抗生剤を適切なものへ変更
②点耳薬による治療、耳洗浄による外耳炎治療を実施

上記治療によって耳の膿は軽減されるものの、耳道内の菌は完全には消えず
耳道内の炎症も継続して認められました。

慢性的な外耳炎と持続感染の原因は、オトスコープ(耳用硬性鏡)検査によって認めらていた耳道内の腫瘤によると考えられました。
必要性とリスクのお話をして、麻酔下でのレーザーによる耳道内腫瘤切除と耳道内洗浄を実施しました。

外耳内の腫瘤 耳道があるはずが塞がって全く見えない


オトスコープで観察しながら腫瘤を切除、その後に根元をレーザー処理。
手術は無事成功し、耳道内の腫瘤は消失。摘出した腫瘤は病理検査へ提出しています。


腫瘤切除、レーザー処置、耳道内洗浄後の耳道内の様子
切除した腫瘤(白黒にしています)


術後は外耳炎が改善し、膿も細菌感染も改善しました。
やはり、腫瘤があることで外耳炎が引かない状態が続いていたということでした。

腫瘤の病理検査結果は「低悪性度の耳垢腺癌」
「がん」ということで、大きくなったり多発する前に切除処置をさせて頂いて良かったと思います。
定期的なチェックを行っていますが、再発の様子もなく快適に過ごしてくれているのが何よりも嬉しいです!

腫瘤が絡む場合など、外耳炎はより治りにくいものとなります。
難治性の外耳炎ではオトスコープでの耳道内の確認や、耳垢の検査の実施が大変重要です。

セカンドオピニオンも受け付けておりますので、治らない外耳炎治療にお困りの方はどうぞご相談下さいね。