膀胱結石の外科治療例

9歳、ビションフリーゼの女の子です。
今回は膀胱切開による膀胱結石摘出を行いました。

「膀胱結石による血尿があるので石を取りたい」という主訴での来院でした。
他の動物病院で血尿の相談はしてあり、膀胱結石の存在自体は示されていたとのことでした。
レントゲンではっきりと写る膀胱内の結石がありました。1cmを明らかに超えており、これでは自力で外へ出すことや食事療法による完治は不可能と考えられました。
膀胱結石による慢性的な膀胱炎と判断し、健康診断にて他に異常がないことを確認してから手術を実施しました。

レントゲンで確認された膀胱結石


開腹して膀胱の切開を行い結石を摘出。慢性的な炎症で膀胱粘膜は腫れて充血していました。結石の破片などを膀胱内に残さないように洗浄を行い膀胱を元通りに整復しました。
写真は摘出した結石で、27mmもありました。これだけ巨大だと膀胱炎はお薬ではコントロールが難しいと思います。

 摘出した膀胱結石


実は、合わせて避妊手術と乳腺の腫瘤切除を行いました。3つの手術を行ったことになるのですが当日夕方の面会時には、元気な様子で飼い主様に会うことが出来ていてとても強い子だと感じました。
血尿が落ち着き、その後膀胱の炎症が引いて頻尿が改善すればいったん治癒となります。
摘出した結石は結石分析という外部検査を行い、継続した食事管理で再発を防ぎます。
取るだけではなく再発管理まで行なってようやくひと安心です。
結果として「ストラバイト」というわんちゃん、猫ちゃんで最も多い種類の尿石と分かり、食事管理をお伝えしました。

今回は膀胱結石を切開により摘出しました。
結石が小さいうちであれば自然に出てくれる可能性や、手術以外の治療で治せる可能性もあります。
そのためにも定期的な健康診断で尿石がないか確認することが重要です。

飼い主様へ確認したところ、啓発のために治療経過を載せることを快諾して頂けました。参考になりますと幸いです。