耳道内異物の治療例
5歳、MIXのわんちゃんです。
今回は耳道内の異物摘出を行いました。
「左耳の違和感が他院の治療で改善しない」という主訴で耳科のセカンドオピニオンとしての来院でした。
散歩時に痛がる様子を見せたので近くの病院へかかったけれど診察で「何もないよ」と言われたとのこと。
耳が下がっていたり耳を気にする様子があり、なんとかしたい!と思っていたところ当院にオトスコープがあることを知ったそうです。
緊張の強い子でしたが、飼い主さんのご協力もあり(お母さんがスタッフと一緒に頑張ってくれて本当にありがたかったです)オトスコープ(耳用硬性鏡)で観察が出来ました。
覗いてみると、外耳道は赤く、奥が腫れて狭くなっている様子。
さらに、奥から毛のようなものが飛び出ている様子がありますが当日の観察はここまでが限界。
耳の腫れ、違和感を減らすために点耳を実施して再度診察をお願いしました。
再診察時にも、やや症状は引いていますがやはりオトスコープで耳道の奥が腫れている…何か飛び出ている…
ご相談し、鎮静下にて鉗子を用いた処置を行うと耳の奥から異物が取れました。
出てきたのは、芒(のぎ:イネ科植物の毛先)。
スポっと入ると、毛がかえしのようになっていて外へ出ず奥へどんどん入ってしまいます。
周囲の耳垢を洗浄して終了、施術後は耳の違和感が解消されました。
実は、耳の異物はオトスコープがないとほぼ対応が出来ません。
「治りの悪い外耳炎として内服や点耳の繰り返し→治らないので外科的に耳道切除」というパターンになってしまう子もいます。
今回のようなケースでは導入しているオトスコープが大活躍。
手前味噌ですが、「オトスコープがある+異物を取る対応が出来る」動物病院はまだまだ少ないと思います。
お母様にはお散歩中時の注意喚起としても載せて良いですかと伺ったところ、快諾して頂けました!
お家は遠方なのですが、ご自身で当院にオトスコープがあることを調べて当院へ来院して頂いた努力が素晴らしいです。
治癒させてあげられて本当によかったです!